東京高等裁判所 昭和27年(く)32号 決定 1952年4月24日
本籍 愛媛県○○市○○町○○番地
住居 東京都○○区○○町○○番地
無職
真木某
昭和七年○月○日生
右少年に対する横領、詐欺、銃砲刀劍類等所持取締令違反保護事件につき、昭和二十七年二月九日東京家庭裁判所が言い渡した少年を特別少年院に送致する旨の決定に対し少年から適法な抗告の申立があつたから、当裁判所は審理を遂げ左のとおり決定をする。
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告の趣意は、抗告人から提出した抗告申立書に記載してあるとおりである。
抗告人は、原裁判所が少年の犯罪事実として認定した詐欺、横領、銃砲刀劍類等所持取締令違反の各所為につき、その罪の成立せざる所以を縷々述べているけれども、原決定挙示の証拠によれば、右各所為の当時それぞれこれに副う犯意乃至は事実の認識のあつたこと等原決定に示されている事実はすべてこれを優に認めることができ、記録を精査するも原決定には決定に影響を及ぼすが如き重大な事実誤認の存するあるを見ないのみならず、原裁判所が少年、保護者及び関係人等について調査した資料によるときは、原裁判所が少年を心身に著しい故障はないが犯罪的傾向の進んだ者と認めて、特別少年院に送致する旨の決定をしたことは洵に正当である。被告人の述べるところはすべて理由がない。よつて、本件抗告は理由がないから少年法第三十三条第一項に則り主文のとおり決定をする。
(裁判所判事 小中公毅 判事 渡辺辰吉 判事 河原徳治)